川上未映子 すべて真夜中の恋人たち
- 作者: 川上未映子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/13
- メディア: 単行本
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みえこ(呼び捨てご免、好きやからゆるして)は新刊が出るたびに買ってるので私が持ってるのは2011年に出たハードカバー。サイン会が催されていたけどどうしても行けなかった。いまだにちくしょうって思ってる。
友達も恋人もいない、仕事をするだけの日々を過ごしている30代の冬子さんは、カルチャースクールで出会った三束さんという歳上の男性を好きになる。
ま、そんだけの話。
だけど、私は、冬子さんの「校閲」という仕事がどういうものかという表現とか、仕事仲間であり、のちに友人ともいえる存在になる聖さんがトゲトゲしく「ナチュラル系」をディスるところとか、おもしろいなーと思う。
一番好きなのは、冬子さんが通うことにするカルチャーセンターの無機質さ。
そのセンターは巨大で、ありとあらゆる講座がある。その講座の多さが、無機質なイメージを抱かせる。場所は新宿なのだけど、まじでこんなセンターあるんかいなと疑ってしまう。
私は、このセンター、倉橋由美子の「スミヤキストQの冒険」の舞台のH感化院みたいだなーと思っている。
H感化院は、すごく無機質でそっけない。倉橋由美子が言うところの「どこでもない場所」そのものだ。
その「どこでもない場所」感が、この小説のカルチャーセンターにはあるな、と思う。
「どこでもない場所」なのに新宿にある、っていうのが不思議。私だけかもしれないけど。
講座名の羅列が、「スミヤキスト~」のドクトルの部屋にあった様々な本の題名みたいな感じもある。まあ、そんなこと思ってんの私だけかもしれないけど。
「どこでもない場所」っていうのは、拠り所がなく、そっけなく、だけどそこには普通に住んでる人がいて、自分一人だけ馴染めない疎外感が必要。
って勝手に思ってる。
「千と千尋の神隠し」の世界、特に電車のシーンは「どこでもない場所感」を強く感じる。もう最高だ。
って本と関係ない話にいつもなってしまうなあ。