ただ読んだ本を記録していくだけのここ

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アゴタ・クリストフ どちらでもいい

どちらでもいい (ハヤカワepi文庫)

どちらでもいい (ハヤカワepi文庫)

アゴタ・クリストフの短編集。
悪童日記」のあまりの趣味の悪さ(褒めてる)に感動した私は、さらにアゴタ・クリストフを求める。

とても短い短編(頭痛がいたい、みたいになってしまった)がたくさんで、とても読みやすい。
全体は暗くて乾燥していて無味無臭、荒野、寒さ、人生の終わり、寄る辺なし、といった雰囲気の文章で埋め尽くされている。
あたたかいもの、やさしいもの、愛とか情けとか救いとかを信じる者の背中をとん、と押して、真っ暗な穴に落とすような、救いのなさがある。

やっぱり、いいなあ。


私は、孤児院で育った子が一度も会ったことのない家族から手紙をもらうことを夢見る話が好き。
そしてとうとう手紙が届くのだけど、結局は拒絶する、っていう。

結局は拒絶、が好き。


し か し

私は、海外の小説を読んで感動したときは、日本の小説を読んで感動したときと比べて、少しその作品との距離を感じる。それがさみしい。
たぶん、この本、また「悪童日記」はフランス語で執筆されている。なんで、私はフランス語読めないんだって思う。私とアゴタ・クリストフの間には、「訳者」というワンクッションがある。私は訳者を経由しないと、アゴタクリストフには触れられない。
それが、変な、さみしい、感じがする。
原文で読めればもっと感動するんじゃないかとか、違うふうに読めるんじゃないかとか、訳者の人には感謝しつつもなんとなくくやしいんだった。