山田風太郎 忍法剣士伝
佐伯俊男のイラストがいけてる。
これは、「幻法びるしゃな如来」がどんなに恐ろしい術かっていうのを、ひたすら思い知らされる話だった。
びるしゃな如来は、全ての男を虜にし、もう「モテ」を通り越した「モテ」、「モテの向こう側」な術な訳だ。
なんのこっちゃ。
じゃあ、その術をかけられた女は、男に襲いかかられて大変じゃない?
大丈夫。
男共は如来に近づけません。
如来の十歩圏内に男が入ると、男はあっという間に射精をしてしまい、なにがなんだか訳のわからないまま倒れてしまうからです。
あなおそろしや!
この術をかけられた旗姫に不用意に近づく追っ手どもはそういうふうにしてバッタバッタと倒れていく。
※
追っ手「ううっ!」で倒れ込み、動けなくなる。
訳知りの剣士「やはり漏らしたか…」
※繰り返し
みたいな。
だいぶ腕の立つ剣士というか剣豪というか12人が旗姫さまを狙ってやってきて、
互いに神業の持ち主なので、紙一重な、ヒリつく死闘を繰り広げたりするんだけど、
※の繰り返しで
なんともいえないマヌケさが拭いきれず、大層面白かったです!
男がみんな、スットコドッコイに見える。
私、女でよかったー。あんなコントみたいなことしてらんないよ。
12人の剣士の中で、ひとり顔を隠した「癩(らい)患者」がいるのだけど癩って何。
調べてみたらハンセン病のことでした。
知らなかった。
またひとつ、知識が増えました。
そして作者の山田風太郎先生。
育児日記なんてものをお書きになっているとは…すごく読みたい。探そう。