榎田尤利 魚住くんシリーズ
これはすごくよかった、って今更感半端ないし絶版してるし。
シリーズは全部で5冊。
「夏の塩」「プラスチックとふたつのキス」「メッセージ」「過敏症」「リムレスの空」と、続く。
10年以上前(高校生の時分)に「夏の塩」だけ読んだことがあったけどこんなに続いてたとは知らなかった。
つーか、私は何で最後まで読まずにほっぽらかしておけたんだ?
主人公の魚住が気の毒な境遇すぎてしんどくなるが
更にえげつない展開が待ってたりして…
えげつないのを好む私だが「うおう…」と思った。
「メッセージ」、な…
なんだかんだでBLなので、大体の事象はBL的展開を進めるための布石なのだけど。
しかし全体的には救済と前進の物語、最後の巻はすごく良かった。
よかったね、よかったね、今まで辛いことばかりだったけど、みんな本当に、よかったね。
と、視界がパーっと明るくなる終わり方だった。
番外編の、マリと女装少年・馨の話がすごく好みだった。
女装はするけど女になりたいわけじゃないという馨、倒錯してて、いいね!
馨はマリを好きになるんだけど
その感情が恋なのかなんなのか、はっきりわからないような感情だった時もあって、いいね!
私は曖昧で複雑な感情が好きだなあ。
恋だと思ってたけど恋じゃなかった、とか、その逆も、そういう話が読みたい。
そして忘れていたけど、私は茶屋町勝呂の絵がだいぶ好みだ。
特に黒髪キャラ、響子ちゃんの塔矢アキラ(ヒカ碁)ばりのおかっぱ頭は素敵だし
久留米もみてよ、「過敏症」の表紙のかっこよさったらないよ。
…ま、これは図書館から借りてきた本なのですが
「図書館でBL借りるしかも司書の人にわざわざ書庫から出してきてもらう」
ていうのはキッツい!キッツいわ!
書庫の申込用紙に「プラスチックとふたつのキス」(2巻のタイトル)とか書くわけで
いや、別に本を買う時なんかはタイトル全然気にしないけど自分で書くとなると急に恥ずかしくなった。
同時に、松浦理英子の「ナチュラルウーマン」(レズビアン的展開)を借りて気持ちの相殺をはかろうとするけど全然相殺されない。
まだ私は世間にうしろめたさを感じているのだな。
しかし、「世間にうしろめたさを感じている男色家の男性」が好みのタイプの女の子もいることだし、(「バナナブレッドのプディング」の衣良ちゃん)
私はしばらくこのスタンスでいくとしようか。