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川上未映子 そらすこんの尻が痒い話

 

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)

 

 

川上未映子さんの「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」

略してそらすこん、のはなし。

みえこの一番初めのエッセイ、大阪弁爆発してる。

 

この中に、私が一番好きなエッセイがある。

付箋をして、いつでも読めるようにしてある。

それが、

「尻が痒い、それ以上でも以下でもなく」

という話。

タイトルだけだったらなんのこっちゃわからんな。

 

未映子は、上京してきた姉とその息子(甥っ子すね)に誘われ、

ディズニーランドへ行く。

始めは、ディズニーを断固拒否していた未映子だったが

目の前の仕事から逃れるために行った。

が、未映子のやるべきことは「乳母車を押すこと」と「パレード観覧の場所取り」のみだった。

さて、パレード場所取りのために延々地面に座り続けるみえこは

着飾ってわがままを言い、自由気ままにふるまう子供たちを見る。

それを見て、みえこは思い出す。

昔見たドキュメンタリーだ。

それは、生活保護を受けながら病気の父親の面倒を見る大阪の少女を追ったもの。

少女の横には犬が寄り添い、

少女は皿を洗いながら、

「台所は、ほんまはもっときれいにしたいけど、だから恥ずかしい」

と語っていた。

あの少女は、ディズニーランドに来て、

親が買ってきた食べ物をいらんと言ったりしないだろう。

これはいったい何の差か。

あなたはいったいどう考える。

と、様子を見に来た姉に問いかけるみえこだが、

姉に「あー、ネガティブ。そんなこと口に出さんとって。」

と一蹴され、言葉に詰まるのだった。

 

別に、そのドキュメンタリーの女の子がかわいそうとか偉いとか

そんな事とは関係なしの、この差。

この差に気付いてしまったら最後、ディスニーランドを楽しむことはできない。

 

このネガティブさ。

私はこのネガティブさに出会いたかった。

これ読んで本当に良かったと思った。

 

みえこのお姉さん(さっちゃん)も気になるよね。