山本文緒 恋愛中毒
山本文緒はサクサク読める。
物語は淡々と進む。だけどその淡々の中に、何やら不穏な情熱や執着やら嫉妬やら愛情が入り乱れている。
どろどろしている。ああ、こんな女いや!といつも思うけど、不思議と読むのがやめられなくてその「いやな女の動向または末路または実態」が気になって気になって夜も眠れなくなる。
私にとってはちょうどよいエンターテイメント。
主人公は、地味で色気のない女性に見えて、実は粘着質な水無月さん。
旦那と離婚した後は、ファンだったタレント作家の愛人兼運転手、みたいなのになって、他の愛人を追い出したり本妻に戦いを挑もうとする。
しかし私はわからない。なんでそんなに男の人に執着するのかわからない。
読んでいる限り、相手の男は遊び人で、愛人が何人もいる。
水無月さんは運転手として、なんだか破格の給料ももらってるみたいだし、旅行にだって連れて行ってもらってる。
ボケきっている私は、「なんて楽な…」と思ったものだ。
なんなら少しだけ、楽しそうだな、なんて思った。
一番楽しそうだったのは、本妻の人。
お嬢様育ちで、愛人に対しては上から目線で、絶対に負けないと思っている余裕。
それをもって、夫との旅行に夫の愛人を誘ったりする。
旅行先でも仕事仕事の夫の代わりになるよう、愛人を遊び相手として連れて行くのだ。
なんてフリーダム!いいなあ、この余裕。
名前は、のばらさん。はは、かわいいな。