ただ読んだ本を記録していくだけのここ

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伊藤比呂美 女の一生

女の一生 (岩波新書)

女の一生 (岩波新書)

私の中には、10代のセンシティブでひねくれまくった私がまだいて、「性的なものに対する嫌悪感」みたいなものをまだくすぶらせていて、本で読むノンフィクションの世界は大丈夫だけど、現実世界で目の当たりにするとあああ、いやだいやだと世をはかなんでしまう。
それは、月経のたびに来る肉体的苦痛、視覚的苦痛(血!)はもとより、不貞のはなし、こないだ読んだ「透明なゆりかご」の中絶数のはなし、果ては友人の妊娠報告にまで、私は動揺する。
いつまでも「性的なもの」は後ろ暗く、ぐちょぐちょどろどろしていて、非日常で、みなさんにはぜひとも隠しておいてほしい、そんな気持ちでいる。
(だから妊娠出産はキツかった…非日常を日常にして公に晒すのだぜ)
こんなガラスのハートを持ち続けるには、31歳子持ち主婦にはツライものがある。おばはんが何ほざいてんの?って思う。

そこで、伊藤比呂美の「女の一生」という本。
これは人生相談のような内容、がすごく面白くて力をもらえた。
「胎児はうんこ」だってープススー!
「子供はぐちゃぐちゃしてても、手触り肌触りだけはいいやつら」だってープススー!
「若い女のセックスは自傷行為」だってープススー!つうか、なるほどなるほど…なるほどね。合点がいった。
昔々、非処女だということを自慢にしていたあの子やあの子、当時は「なに言っとるんだ汚いなしねよ」と思っていた15歳の私ですが、彼女らの肩のひとつも抱いてやりたい、31歳の私はそんな気分になった。
思春期の女の子から、70代のご婦人まで、じつにさまざまな年齢の方の質問に答えまくる伊藤比呂美の文章はどれも頼もしく説得力があり、ぜんぶに合点がいき、過去の私も今の私も未来の私も救われる気がした。
性的なものの日常をみた。
ガラスのハートは捨てられるかもしれない、と思ったけれども、
この本に一貫して存在している答えが「あたしはあたしだ」ということなので、まあ別にこのままでもいっか!!

あとは、娘の思春期がたのしみになってきた。