押見修造 ぼくは麻理のなか1,2巻
「押」の字だけで、押切蓮介とかんちがい。
引きこもり大学生の小森功、日々ゲームと自慰三昧、が、いつもコンビニで見かける憧れの女子高生・吉崎麻理(功は天使、と呼んでいる…)に「なって」しまう。
入れ替わりもの?と思ったけど、どうやらそうではないらしい、麻理のなかに功がいるだけで、麻理はどこに行ったのかわからない。
自分は自分で、中身はそのままで、ちゃんと存在していたのだ。
うわ~おもしろい~!!
なにがおもしろいって、「ひきこもりコミュ障ゲームオタク非モテ童貞男子」が女子高生ライフ、しかも美少女、女子カーストは上の方、を送らなければいけないそのしんどさがおもしろい!!
おもしろすぎて、私の今年の初夢はこの漫画だった。
私が小森功になり、さらに吉崎麻理になり、「どーーーしよーー!!」ってピンチになる夢。ものすごいスリリングだった。
2巻の後半、友達と一緒に遊びに行くところが面白い。
服をみたり、プリクラを撮ったり、モスバーガーに行ったり、カラオケに行ったり。
途中で男子グループと合流したりして。
最初、功は男子に「高校生のくせにこいつ…さわやかな顔しやがって!こんなかわいい子と…くそっくそっ!」って嫉妬ばっかりだったんだけど男子たちがゲームの話になると途端に饒舌になったりして、「レベルマックスまで上げた」とか言ってしまって、とにかく男子とは仲良く喋れてしまって「こいつら…わりといい奴らじゃないか」とか思う。
でも今は美少女・麻理なわけで、ゲームのレベルマックスまで上げた、とか言ってる場合じゃない。
カラオケでノリノリで歌ってる場合じゃない。
麻理の日常を守らなければならない。
功in麻理を見破った、麻理を崇拝するクラスメイト、柿口さんという女子も気になるし、
麻理が功が古本屋に売ったエロ漫画を買っていたのも気になるし、ああ、気になる。
あとがき漫画も面白い。
「女の子として生まれ、女の子として育てられ、女の子としての人生を歩んできた本物の女の子になりたい」
「女として世界を見たい」
という欲望が渦巻いているようです、作者の押見さん。
ああ、他者になりたい欲求…切ないね…