ただ読んだ本を記録していくだけのここ

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入江喜和「たそがれたかこ」 今のこの気持ちほんとだよね!

最新刊よみました。
1巻、2巻の記事を書いてから、既刊は全部読んでいるもののそれ以降まったく感想を書けなくなってしまったのは、この「たそがれたかこ」という漫画を読むと精神がきりもみ状態になってしんどく、キラキラと輝くたかこさんの高揚が嵐となって私はすっかりのみこまれ言葉を失ってしまうからだった。
(要約・すごすぎて感想を書けない)

だけど、最新刊を読み終えたいま、私はナスティ光一くんとも黒インコ碧海くんともつかぬ男性にキスされる夢を見てしまったたかこさんのように「ヤバイヤバイヤバイ」と思っている。私のCPUは処理中でずっとグルグルしているかんじだ…
なんとか出力!

ナスティインコ・谷在家光一のファンになり、CDを買い、本人の画像にドキドキし、ライブDVDをテンション高めで視聴、思いの丈をミュージカルで歌い上げ(心のなかで)、ライブで本人を拝み…
そんなふうにひとりのアーティストにどっぷりはまって、しかも同じナスティインコのファンのお仲間がいればそら楽しいだろう…と思っていたら事態は思わぬ方向へ。
ナスティインコのファン仲間は同じアパートに住む中学生男子・碧海くんなのだけど、たかこさんは谷在家くんを好きになっていくのと同じように碧海くんのことも意識しだすようになる(顔がなんとなく谷在家氏と似ているのだ)。
そしてなんたることだ、6巻最後のシーン、二人で一緒に行った公園ではしゃく碧海くんを見ながら「ねえ、好きだよ」と、はっきりとたかこさんは思っていた。
私は、「なんたることだ」とか書いたけど、あーもー全然、全然す。全然驚いてないす。
「仕方ない…仕方ないで…たかこ…それは仕方ない…」と泣いとったよ私は。
40代女性が中学生男子に向ける「ねえ、好きだよ」は、きっとグロテスクに見えることでしょう。
しかし、たかこさんはきっと碧海くんとどうこうなりたいとかは全然思ってなくて、ナスティインコの谷在家くんが好き、その谷在家くんゆかりの公園に来れて嬉しい、碧海と一緒に来れて嬉しい、10代の頃の私が救済されているようで嬉しい…そんな気持ちがぐっちゃぐちゃになって、それをギュー!とまとめて思わず出たのが「ねえ、好きだよ」だったんだと思う。
私はそう思ってる。
私は、こんなふうにたかこさんがナスティインコ関係で楽しくなってる時、なにもかもを忘れて「好き!」ってなってるとき、小沢健二の「強い気持ち・強い愛」のフレーズ、「今のこの気持ちほんとだよね」ってのを思い出す。
たかこさんの日常は、悩みが尽きない。ひとり娘の一花は摂食障害を患い、なかなか良くならない。元夫とのつきあいもまだ続く。
たかこさんは基本的にネガティブなので、昔の嫌な思い出をよく覚えてて、それをまだ心のなかでくすぶらせてる。(私もそうなので、よくわかる。要領の悪さをなじられたりするのつらいよね)
でも、好きなことがあると楽しい。私はつまんない人間かもしれないけど、これは好き。本当に好きなんです。だから私はこれでいいし、私はがんばれます。
気分が沈むことの方が多いけれども、この好きな気持ちは本当だから、私はつまり、幸せなんだよ!と。だからオザケン。(強引だね)

私は、今年この漫画を読めて良かった。
よくある「今年のおすすめ漫画ベストなんちゃら」みたいにおすすめはしない私だけれど、
地味で、どんくさくて、基本的に日陰者。嫌な思い出をいつまでも覚えていて思い出す度に傷付いては暗くなる、それでもなんとか日々を生きてるみたいな人にはおすすめしたいなと思った。
けど、誰やねんそれ、私やん。
だからこの漫画は私の今年ナンバーワン作品だよ!
好き!
いーまのーこのきもちーほんとだーよねー♪



ナスティインコのモデルはクリープハイプ
巻末の、クリープハイプの人と作者の入江さんの対談も禿げ上がるほど面白かった。入江さん本人に私は堕ちた。


tricolour22.hatenablog.com
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