ただ読んだ本を記録していくだけのここ

ただ読んだ本を記録していくだけです

南Q太の百合漫画まとめてみた【前編】

南Q太の百合漫画についてはしかるべき場を設けて語らねばならぬと常々思っていて、アクセス数の少ないこのブログならば人目をはばからずだいぶぶちまけられるんじゃないかと思ったのでする。

記事タイトルには「百合」を使ったけれども、
私は「百合」の定義があまりわかっていないし、そもそも定義があるのかないのかそれすらもわからない。
ここはひとつ、女の子が意識的に女の子に好意を寄せているストーリーであれば百合、よしいいもん読んだと判断している私の基準を定義にしているということを念頭においてもらってさあどうぞ。
収録されている単行本ごとにみていこう。
思ったよりも沢山あったので、前後編に分けることにする。
やらねばならぬ。私がやらねばならぬ。私のために。

※注意※
南Q太の漫画は基本的にエロ有りで、私は「百合」とカテゴライズしましたが、「百合」とはいえ一般誌の作品でありますし男性も出てきますし作中の女子たちは男性と普通にセックスをしています。そういったシーンがドーン!のバーン!というお話もあります。(なんせあの「anan」のセックス特集号に漫画を寄稿しているほどの著者です)そういうのが大丈夫、どんとこいというお方だけ読んで!!!

『かみさまお願い』収録作品

「君にムラムラ」
南Q太さんはタイトルを適当につけがちです。短編なので適当さがにじみ出ています。
彼氏に振られて傷心旅行の主人公。
旅行の夜、一緒に来てくれた友人まりことセックスがらみの話で盛り上がったせいか、まりことセックスする夢を見る。
(自分は男になっている)
主人公は、帰りの電車のなかで、隣に座るまりこを見ながら「まりこの横顔ってかわいいな」と思う。
このふたりがどうこうなる、という話ではなくて、そういう夜がありましたよってだけの話だ。こんなふうな刹那的な百合は好きだ。
女友達にドキリとしてしまう瞬間。立派な百合です。

「サユリさんの悩み」
榎本加奈子が好きすぎて、こんな気持ちのままであなたとお付き合いを続けることはできません、
と彼氏に別れを切り出すサユリさんの話。
まじそれだけの話。
榎本加奈子がなつかしい。
ここでも夢のなかでサユリさんは男になってた。
男、というか男性器を手に入れていた。
そして夢精したかと思ってパンツ見てしまう。なにもないけど。
百合…?もうすでにわけがわからなくなってきたが「かわいい女の子に激しめにときめく女子」が描かれています。とにかくリビドーがすごい。

「幽霊」
主人公のリカ子は最近肩が重く、「幽霊にとりつかれている」と感じる。
きっと、先週バイク事故で死んだ橋本ゆかりの霊だろう。
ゆかりは、リカ子の彼氏、たかしのことが好きだったようだ。当て付けみたいにゆかりの前ではたかしを横に置いていた。
が、たかしがゆかりと一回だけ関係を持ったことを知るリカ子。リカ子は怒る。「ゆかりをばかにすんじゃねえよ」。
彼氏のもとを離れたリカ子は思い出す。一回だけゆかりと一緒に眠ったことがあった。寝顔がかわいかったからキスをしたらゆかりは飛び起きた。真っ赤な顔をして「ごめん私こういうの慣れてないから…」。ゆかりはかわいかった。
後を追ってきた彼氏につかまったリカ子。
「お前がいないとダメなんだ」と懇願する彼氏に犯されながらリカ子は「生まれ変わったら男になりたい、そしてかわいー子と恋愛してやりまくろう」とおもうのだった。
はいはいはい、男と付き合いながらも本当は女友達が好きだったパターンです!
もうゆかりはいない世界に生きているリカ子。
「男になってかわいい女の子と付き合いたい」という願望を持つことでなんとか生きているのではないか。
そのうち肩の重みも消えて、「幽霊がいないのは少しさみしい」と思うのですが、けっこう切ないかも。

私の手元にあるのは旧版のものなのだけど、この文庫版も同じなのかなあ。わからないです。

『愚図な女ばかりじゃないぜ』収録作品

「楽しい放課後♯1」
女子にモテまくるイケメン女子岩田ちゃん(空手部部長。キャーキャー)と学年一の美女まゆこのはなし。
ふたりは親友…なのだけど、放課後になればいつもトイレや空き教室でセックスまがいの行為にふけっている。岩田ちゃんがまゆこを一方的に攻める、みたいな感じだけどまゆこもノリノリなんである。まゆこに舐めてほしい、と言われた岩田ちゃんは応えるが、「うェッ…」とえずいてしまうのが可笑しい。岩田ちゃんは「時々少年がまじっている」という設定なんだけど、まゆこは「あたしは女の子の岩田ちゃんが好きだよ」と言う。このまゆこのセリフでこれは百合だとしか言えない。

「楽しい放課後♯2」
岩田ちゃんとまゆこカップルの続き。
なんと、岩田ちゃんに憧れる写真部女子(おブス)に「ふたりがレズっているところ」を写真に撮られてしまう!犯人の国領七子は写真を現像しながら「不潔です、まちがってますこんなこと」と思い、岩田ちゃんに直接コンタクトを取る。岩田ちゃんは「てめえか」と凄み、でも国領七子は注意するつもりが「あたしとキスしてください」と言ってしまう!!それを聞いた岩田ちゃんは「もっとイイコトしてやるよ」と不敵に笑い、国領七子は岩田ちゃんにヤラれてしまうのだった…。だけどそのあと、「ブラウス破いて悪かったよ」と、ぼろぼろの国領七子にばさりと服を投げる岩田ちゃん。国領七子の恋は続く。…
岩田ちゃんがゲスな男みたいでたまんねえ。

愚図な女ばかりじゃないぜ (BUNKA COMICS)

愚図な女ばかりじゃないぜ (BUNKA COMICS)


『デイト』収録作品

「小さな願い」
レズビアンのキヨコは、後輩のあゆみちゃんと付き合うことに。あゆみちゃんは可愛くておっぱいが大きい。セックスだってしている。しかし、突然あゆみちゃんは「彼」の部屋に引っ越すという。キヨコにも、今から来る彼に会って欲しいという。「これからもずっと友達でいたい」とのたまうあゆみちゃん。キヨコは笑顔を貼り付けながら、帰るわ、と言って雨の中歩いて帰る。「あんたは友達とセックスすんのかぁ、オイ」「男になんか会いたいワケねーだろあのバカ女…」と、あゆみちゃんとさよならしようとするが、「レズビアンだってカムアウトしていきごんでみたってあたしは傷つきやすい小娘のままでこうやって逃げつづけるの…」と号泣しながらあゆみちゃんのことを思い、またあゆみちゃんの家に戻ったキヨコ。
キヨコは「恋人がふたりいたっていいじゃん、あゆみちゃんがどう思っててもあたしはあゆみちゃんの恋人だって勝手に思ってるから」とあゆみちゃんに告げる。
あゆみちゃんあゆみちゃんうるせーなこの文章。
わたしは「あゆみはやめとけ」としか思えないんすけどね。結局は男に取られてしまうよ。レズビアンの悲哀、みたいなものがみえて切ないです。
キヨコとあゆみのシャワーシーンあり。ふたりでいちゃついています。これで友達、と言えるあゆみ…逆に百合っぽいかもしれん。レズビアンじゃなくて百合。

デイト (祥伝社コミック文庫)

デイト (祥伝社コミック文庫)

『あたしの女に手を出すな』収録作品

「あたしの女に手を出すな」
大学生の話。
ボーイッシュな木村と、美女で男にもてる中島。「寝顔にキスをしたら思いきりぶたれた」ではじまる。木村が中島にキスをしたのだ。
ふたりはいつもいっしょにいる友達。木村は中島を見て、「腕も唇もほんとうに柔らかい」「顔もぬいぐるみみたいでかわいい」と思う。ぬいぐるみて!!
中島に「木村が男の子だったらよかったのになー」などと言われると木村はムッとする。「わるかったなあ女で。」
ある飲み屋でブサイクな男にからまれる中島を見て木村はキレる。
男に飲み物をぶっかけ一言、「あたしの女にさわんじゃねーよ」。
そのあと、木村は自分の寮の部屋に中島と一緒に帰る。
最後のモノローグ、
「そのあとあたしたちは裸になってぎゅーっと抱き合ってねた。女同士の体ってほんとうにぴったりあてはまる」
てのが印象的。
ぴったりあてはまるんだ!?
どこがどう!?と気になるが確かめる術も心構えもねえ!とギリギリしてしまう話。
タイトルが突き抜けていて格好よい!(タイトルを適当につけがち、だからこそのこのタイトルなのかも)
格好よい百合!!

あたしの女に手を出すな―南Q太作品集

あたしの女に手を出すな―南Q太作品集


さて、前半終わりました。
初期(1996~1998くらいかな?)のものを集めてみました。
傾向としては、ボーイッシュな女の子と可愛い女の子のカップルが多い。わかりやすい感じです。
「楽しい放課後」が私は好きですね。
「幽霊」もほんと好きです。私は、「男と付き合いながらも男には心を許しておらず本当は好きな女の子への気持ちをしまっている女の子」が好きで好きで好きなんですが、その話はまた後半でしたいと思います。
単行本としては「かみさまお願い」が一番面白い。表題作は実の兄に性的嫌がらせを受けている女の子が兄の死を神様に願うおはなしで、最高です。
南Q太唯一のBLもあり、オカマはいるし盛りだくさん。


それではまた。