すべらかで自然な位置に立ってゆく女装男子たち ふみふみこ『ぼくらのへんたい9巻』
クソおもしれー
大島弓子の漫画『バナナブレッドのプディング』の中に、こんな文章がある。
「だれかもつれた糸をヒュッと引き奇妙でかみあわない人物たちをすべらかで自然な位置に立たせてはくれぬものだろうか」。
最初はそんな感じだった三人の女装男子たちよ。
それぞれねじれまくった状態で出会って、そしてねじれまくったまま三角関係になっていった。
それが、まあなんと、みごとに「すべらかで自然な位置」に立っていくのだった!糸が、ヒュッと引かれた!
まずは裕太が、「まりか」になって生きていくという決意をし、次に亮介が姉のユイと決別をして母を取り戻して、
今回は、一番のねじれ女装男子、田村修さんことパロウが!闇を葬るのだった!!
きましたね。まとめにかかってますね。
亮介が、田村の高校に入学してきたことで、最初は「秘密の女装仲間」だったのに普通の先輩後輩としての付き合いが始まって、亮介は、もう女装をしなくていいから「普通の男子」のまっすぐさで田村に接する。
「腹立つけど嫌いじゃない」っていうスタンスが素敵よ亮介。
まあ、亮介に貸した体操服を悪用したり、勉強を教えるという名目で家に呼んで早速女装させたりと「パロウっぷり」はガンガンに見せつけてくれたけれども、それでも向き合ってくれた亮介によって、パロウにかけられていた呪いめいたもの(昔付き合っていた先輩のこと)が消えていき、あとには清々しいパロウさんがいました、とさ。
救われたけど女装はやめなかった田村さんことパロウさんはマジ素敵。
最初はメンヘラで情緒不安定っぷりが甚だしいクソビッチ系だったパロウさん。
最後のシーンでは、いつものロングのウィッグなしの女装で初めてのカラオケをするさまを披露しそれはとてもとても、初々しい女の子のようでかわいかった。
トモちの傾向も決まってきた感じ。
まりかは、『放浪息子』のにとりくんを彷彿とさせられてとても切ないですね。
夏服になって、男子に「今日の青木はやばかった、やっぱり体のつくりが男だ」なんつってこそこそ言われてて、超切ない。