もしやこれはBLじゃないのか!? 吉田知子『脳天壊了』
- 作者: 吉田知子
- 出版社/メーカー: 景文館書店
- 発売日: 2012/12/19
- メディア: 単行本
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ひみつのおまじない、のうてんふぁいら。
結局なんだったのか、よくわからない。
そのよくわからなさが、むっちゃ不気味で面白い!!ぜんぶがすさまじい!どう読むのが正解なのか、わからない!
とにかく吉田知子の書く文章の不気味さや突拍子のなさにぶるぶる震えて、いつのまにかわけのわからん夢を見させられていた!と思うしかない。
「脳天壊了」
ひとりのさえないオジサン、杢平が仲の良かった?オジサン中瀬とのエピソードを延々思い出す話。
ふたりとも満州引き揚げ経験ありの苦労を重ねた、立派なオジサンです。
…一体、この説明を読んで誰が「この話読みたい!」と思うでしょうか。
仲の良かった、というよりかは杢平は中瀬にずっと見下されていて、いいように扱われ馬鹿にされていたので、中瀬が病気で寝付いているときいて、見に行って愉快愉快と思っている杢平。しょっちゅう見舞いに行く。歩いて2、3時間かかるのに行く。(昔にしたら普通だったのかな?)中瀬はもうすぐ死ぬ。中瀬は足に穴が空いている。中瀬は立派な死体になるだろう。とか思ってる。
杢平の見ているもの、夢、思い出、思考がごっちゃになっていく。
オートバイの事故に遭った女や死人の布団を干していた家なんかが急に出てきて、そして消えていく。不気味。
で、結局中瀬は杢平、君のなんなんだ。だ!
なんだこれは。くそディープ(人知れず存在してる地底湖くらいディープ)なBLか!?と思って最初から読んでみると違う世界が見えてくる。
っていう話ではないような気がするけど、正解がわからない。
最近はBLを読む量が増えたのでなんらかのフィルターがかかっているのかもしれない。
「のうてんふぁいら」は、杢平が昔、中瀬に殴られ「のうてんふぁいら、だよ、お前は。まるきり、のうてんふぁいらだ。」と言われたところと、
その仕返しをするように、杢平が寝込んでいる中瀬に「もう死んだだか。のうてんふぁいら」と言ったところで出てきた。
それにしても、「のうてんふぁいら」という言葉のひびきは好きだなあ。
他の小説も面白かった。
のでまた記事にできたらしたい。