尾上与一 天球儀の海
BLでーす
タイトルがきれいですね。
内容はなかなか衝撃的だった。
- 作者: 尾上与一,牧
- 出版社/メーカー: 蒼竜社
- 発売日: 2012/10/25
- メディア: 新書
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昔助けてくれた憧れの人の身代わりに特攻に行く!当たってきます!(当たってきます、ってすごい)と決めた主人公の希(ゆき、とよむ)。
文章は、きれいなんだけれども、きれいさにまぎれる狂気が。
希の憧れの人・資紀坊ちゃんがめっちゃ怖いのだ。
自分の身代わりの希を、特攻どころか飛行機に搭乗させんためにとった行動が重すぎて猟奇じみてて、一部ホラーサスペンス小説になってた。
ネタバレしたらだめかもしれん。
続きは追記。
希の右手首 一刀両断(自前の鉈で)
そのあと、自分の特攻に希の切り離した手首を持ってってしまう
キャーーッッ!!
って私キャー言ってるけど、手首の一連、「皆川博子っぽいな」と思う。
皆川博子なら手首をからからの骨にするな。
というわけで私は好き。
希は資紀のために特攻に行きたがってて、でも資紀は希を生かしたがってて、その食い違いというかすれ違いっぷりが非常につらい。
話し合えばなんとかなる類いのものではなかったし。
戦争真っ只中で雲行きも怪しいのではないかという閉塞感もつらく、やっぱり時代は選べないよなと思う。
しかし…
最後はハッピーなエンドなんだけど、
資紀も実は昔から希のことが希に負けず劣らずっていうかヤバめな感じで気になっていたらしく、そのエピソードが面白すぎた。
資紀が子供のときに、希にはやく大きくなってほしい一心の「(希の家の)玄関先に餅を置いたこともある」発言、これは「隣の席に座ったこともあるんだぞ」天沢聖司くん(耳をすませば)を彷彿とさせ、なかなかのあれ(そうだったの?…てことは最初のあれもこれも全部…計算ずくだったのか…!あああってぞわぞわしてしまう、という意)でよかったとおもいます。
と思ってたら、資紀の視点で書かれた番外編(同人誌)があるということだったので読んでみたら、子供時代の彼が思った以上に希のストーカーだったのでクソ面白かった。
とてもシリアスな話で、クソ面白がってんのはダメだと思うけれども、いやー、面白かった。
大人になってからも、ああ、こんな気持ちで希にパワハラまがいのことを、とか、鉈、ちゃんと消毒してたんだね、とか、希の手首はちゃんと返す予定だったんだねとか、色々と真実が見えてきて面白かった。
成重資紀、いいキャラしてやがる!!
なんか、私が感想かくと茶化しているように、どうしてもなってしまうなあ。