ただ読んだ本を記録していくだけのここ

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うらたじゅん 嵐電

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(すいません暗くて。そして図書館のシール貼ってあるので消しました)
松本充代に引き続き、うらたじゅんまで図書館にあった!うっひひひ!

昭和ノスタルジー、子供、おっちゃん、お母さん、東京、大阪、思春期、そのようなものが詰め込まれてあって全部がうまい、ものすごい情緒、哀愁。
昭和の風俗にも触れることができる。

なかでも、「金魚釣りの日」がすごくいい。
昭和34年、大阪。
飼っていた金魚が死んでしまって悲しみにくれる四歳のミヨ。仲良しのケンちゃんは、「泣かんとき!ぼく、川で金魚釣ってミヨちゃんにあげる!」と、ふたりは川に金魚がいると信じて、普段、お母ちゃんらから行ったらあかんと言われている川に釣りに行く。
が、ケンちゃんは川に落ちてしまい、流される。
ミヨはケンちゃんの母親を呼びに行き、戻ってみると、見知らぬ青年にケンちゃんは助けられていた。泣いて感謝するケンちゃんの母親。
「よかったな坊や…生きてお母ちゃんに会えて…もう安心や…」と青年は言って去っていく。ケンちゃんの命の恩人は、この誰だか結局わからなかった。
だけどミヨはいつまでも青年に感謝する。

「よかったな坊や…生きてお母ちゃんに会えて…もう安心や…」
って台詞、私はゾッとした。
これ、死んだ人じゃないと出てこない台詞じゃない…?「生きてお母ちゃんに会えて」の「生きて」の重さ、こら半端やないよ…。
と思っていたら、青年は、ミヨのお父ちゃんの、ビルマで戦死した友人・雄二くんであるような描写があった。

「金魚釣りの日」に一貫して流れているのは、「はじめて身近に感じる死」であるよね。主人公のミヨがお父ちゃんから聞く「雄二くんの戦死のはなし」から「金魚の死」、「ケンちゃんの死(死んでないけど)」と、どんどんミヨにとって「死」がリアルになっていく。
あー、うまく言えないけど、スゲーな!
スゲーよ。いいドラマ見たよ。って感じ。

あと、ミヨが麦わら帽子のあごに引っかけるゴムをチューチュー吸ってた描写とか、「タハー!」となった。やってたやってた子供んとき!つーか子供、だいたいやってる。


うらたじゅんって女性だったのかあ…。