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ただ読んだ本を記録していくだけのここ

ただ読んだ本を記録していくだけです

佐野洋子 神も仏もありませぬ  心酔

全部読んだ。

もうなんか、ニヤニヤしながら読んだ。

 

いつの間に六十三になったのだ、わしゃ知らん。本当に知らんかった。

って自分の年齢、老いにビビり、鏡の前で「ウッソー」って思う。

春が来て、ピンク色に膨らんでいく山を見て、山は笑いたいのをこらえているみたい、と思う。

サッカーの試合を見ながら、サッカーには興味がないから、

そんなら選手の美しい男を見てやろうじゃないかっつって

まじで目を奪われる。

百一歳の人の着物をほどきまくる。

百一歳の人の人生を思いながら。

ブスと言われても、手前、自分の顔みてから云えとどなりかえす。

ビューティーコロシアムから目を離せない。

キスより接吻がいやらしい。

コンタクトレンズを飲みこんじゃって、コンタクトレンズに過剰反応。

ごはんを食べて「うめェ」と思う。

 

…もう羅列したらきりがない。

頭がガンガンするほど、この本の「ここめっちゃいい!」箇所が多い。

 

佐野さんの周りの人の言葉もいい。

農家のアライさん夫婦がよく登場するけれど、

この人たちも最高だ。

しかし、その人たちの言葉を絶妙に切り取る佐野さんのセンスったら!!

 

どんな人にも、その人が歩んできた歴史があって、

自分がこう、と感じたことや、発見したことや、好きなことや、嫌なことがある。

自分だけの思考がある。

私はそれを知りたい、いろんな人の、そういうのを知りたい、

と常々思っていて

例えば電車の隣に座った人の青春の思い出なんかを聞いてみたい衝動に駆られる。

しないけど、

電車の中で周りの人を見渡すと、

ああ、これだけの人生がここに詰まっている!

と思って、その人生のすべてを知りたくなる。

すべてじゃなくてもいいや、これだけは忘れられない、とか、

あいつは絶対に許さないとか、そういうエピソードでもいい。

 

この本はそういう欲求をみたしてくれた。

 

読書はやめられない。

こういう本にブチあたるからやめられない。

私は年を取るのが怖くなくなった。

きっと、今よりももっと、気に入るものに出会えているはずだ。

 

高校生の時、自分が今ものすごく好きなもの(音楽とか、本とか)のことを

未来の私は好きなままいられるんだろうかと不安になったことがある。

その「好きなもの」が好きすぎて、永劫にそれを愛せるのか、と。

今考えると、なんのことはない。若い、若い。

今現在、私は29歳だが、その時好きだった音楽は、当時ほど好きじゃない。

その代わり、他の、新しいものを好きになっている。

好きなものは、どんどん更新されていく。

更新されていくことが今は嬉しい。しあわせ。

高校生の私は、更新することを知らなかったのだ。

 

とりあえず今は、未読の佐野洋子の著作が山ほどあるのがうれしい。

 

佐野さんが作家でよかった。

佐野さんが、何かの宗教の教祖だったら私思いっきり入信してる。

もう心酔してる。

どんなに金がかかろうが、修行に励んでいる。