花輪和一 刑務所の中
これも何回読んでも飽きない漫画。
段々、花輪さんのことがかわいく思えてくる。
「うれしいお正月」が好きだな私は。
野外での運動の時間、おしゃべりに興ずる受刑者たち。
「大内さんは拳銃で人を射殺して家で寝てるところを逮捕されたんだってねえ」
「うっははは
貸した金とりに行ったらまさかり振り回したから討ちとったんだ
人一人殺して七年なら安いもんだ、うっはっはっ」
「たまには殺したやつの冥福を祈ったりするのかい?」
「そおゆうことはぜんぜんしねえなあ、うっははは」
「えらい!自己確立してるね」
この会話!こんな会話できねえよ。
お正月には、たくさんおいしいものが出るらしい。
年一回、大晦日だけは夜更かしができて
お菓子が出て、モチが食えて、麦飯じゃなくて白米が出るとか、
「食って食ってもう何も思い残すことはねえと感じる」らしい。
これは、絵だけじゃなくて文章やセリフもだいぶ印象に残る漫画だ。
「真綿でホンワリくるまれたような毎日じゃよう」
「この房には死刑囚がいるはずだ、ああ、死刑囚に会いたい」
「自分でチューシャする姿ってすごく汚いよね」
「あ~っやめやめやめ!
今日研ぎやめだ!願いますがじゃまでいけねえ
とか、もう頭から離れなくなってまた読み返したりしている。
男所帯の刑務所暮らしに戦艦大和もこんな感じだったのかと思いを馳せたり
出所したらみんなで大麻とりに行こうぜ、弁当持って、
って相談して、集合場所などを書いた紙をボールペンのキャップの中に隠したけど
それはすぐにめっかって懲罰房行きになったり
部屋でふざけたら刑務官に「修学旅行に来てんじゃないんだぞ、わかってんのか」
って怒られてテレビ視聴禁止になったり
そういうことが
知らない世界過ぎて面白すぎる。
私のこの本すげえボロボロ。