ただ読んだ本を記録していくだけのここ

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安野モヨコ「ハッピーマニア」

安野モヨコの「ハッピーマニア」が電子書籍で全巻無料で読めたんですけど、安野モヨコの漫画は昔のもの(ジェリーインザメリーゴーラウンドとかラブマスターXとか花とみつばち、ジェリービーンズ、さくらんといった)ならだいたい読んだことあるんですけどこんなに共感できないのすごいなあと思っている次第です。
一ミクロンも共感できない。すごい。
なんならシゲタもフクちゃんもタカハシも全部まとめて苦手なキャラだ。
女キャラは全員が揃いも揃って痛々しく、「若い女のセックスは自傷行為」という伊藤比呂美の言葉を思い出す。
男キャラ全員は憎まれるために産み出したんじゃないか!?と思うほど憎たらしい。いけ好かないにも程がある!
つうか気に入りのキャラがひとりもいない!
なのに読んじゃう…
それもこれも安野モヨコの絵のせいだよ!! 
私は安野モヨコのざくざくした線で描かれた女の子が好きなんだ!(ざくざくしてるよね?)

という結論になりました。


しかし好きなキャラはいないがシゲタとフクちゃんの関係は好きだ。
印象的なシーンを思い返してみると…シゲタのラブより、シゲタとフクちゃんの絡みのシーンばかりがのこる。
シゲタがフクちゃん家に転がり込んだりフクちゃんがシゲタんちに転がり込んだり、変な服ばっか買って「何に合わせるんだよ!」って洋服コーディネートでフクちゃんに怒られたり、シゲタが「フクちゃんがいたら彼氏がいらない」みたいなこと言ってたり…。
こ、これ、「シゲタとフクちゃんの物語」として読めば…楽しいな、これ。

『銀河鉄道の夜』、カムパネルラの肩について

(ますむらひろしの描く宮沢賢治作品がかわいくって大好き)


10年くらい前になるけれど、私が会社勤めをしていたとき、ひとりの先輩(女子)が退職することになった。
そしてその退職のニュース(小さい会社だったのでニュースになるのだ)に嘆き悲しむ女子がひとり。先輩と同じ部署で働いていた同期であった。
「私先輩の細い肩を後ろからこっそり見るのが好きだったのに!」
と同期は言った、同期のデスクは先輩の斜め後ろに位置していたらしく、同期はPC越しに先輩の肩を盗み見していたようだ。
先輩は、顔立ちは地味なものの長く伸ばしたまっすぐな髪の毛とスレンダーな体型で、野暮ったい事務服を着ていてもすらりとして見えた。おじさんおばさんばかりが働く小さい地味な会社の中、かなりの素敵女子であった、ので、私も「先輩の肩ね…わかるわ」と同時に同期にたいして「おまえはジョバンニか」と思ったのだった。
おまえはジョバンニか。

宮沢賢治銀河鉄道の夜』を読んだことのある人にはおわかり頂けるだろうが、ジョバンニは『銀河鉄道の夜』に出てくる少年だ。
ジョバンニは病気のおっかさんの面倒を見る勤労少年である。ジョバンニには「仲良くなりたい」少年がいる。同じクラスのカムパネルラである。銀河鉄道に乗ったジョバンニは、車内に「見たことのある肩」を見つける。

すぐ前の席に、ぬれたようにまっ黒な上着を着た、せいの高い子供が、窓から頭を出して外を見ているのに気がつきました。そしてそのこどもの肩のあたりが、どうも見たことのあるような気がして、そう思うと、もうどうしても誰だかわかりたくて、たまらなくなりました。


その肩の持ち主は果たしてカムパネルラであるのだけど、「肩のあたりがどうも見たことのあるような気がして」という部分に込められた諸々に私はいつもめまいがするのだった。
肩のあたり、という部分、そこが「ひそかにずっと見つめ続けた結果」として考えられる。
(肩なんて後ろからずっと見つめ続けないとわからないよ!)
よって「肩のあたり」という言葉にはジョバンニの、カムパネルラに対する「慕情」「あこがれ」「思慕」、そのようなものが込められまくっている。もうそれ以上語る言葉はいらない。
ジョバンニよ、きみはそれほどまでにカムパネルラを、と切なくなるのだった。

…というくだりがあって、私は同期が見つめていた先輩の肩のエピソードがなかなか忘れられないでいる。

5月読書メーター(2017)

今古い家を見たくて、家の本をたくさん借りている。
新築より古い家。変な間取りやレトロな照明、色褪せたタイルがいとおしいよ。(しかし小野不由美を読んだせいで穢れも気になるところだ)
何気なく読んだBL漫画がかなりいいかんじの古い家が舞台でびっくりした、家ばっか見てた。間取りが知りたい。
『ビンテージハウスで楽しむスタイルのある暮らし』は間取りが載っていなくていまいち入り込めなかった。雰囲気いいのにざんねん。

シュトヘルが終わってしまって、さみしいのだけど、作者が次はどんな作品を描いてくれるのだろうとわくわくもする。大学生の頃読んでた『皇国の守護者』からファンですよ。

5月の読書メーター
読んだ本の数:14
読んだページ数:2967
ナイス数:71

くいいじ 上巻くいいじ 上巻感想
おもてなし料理を必死になって作りまくる話が好きだ、そしてやっぱり安野さんかわいい
読了日:05月25日 著者:安野 モヨコ
VINTAGE HOME ビンテージハウスで楽しむスタイルのある暮らしVINTAGE HOME ビンテージハウスで楽しむスタイルのある暮らし感想
似たり寄ったりの新築より古い家の方が面白いわやっぱ。
読了日:05月25日 著者:
マーガレット・ハウエルの「家」マーガレット・ハウエルの「家」感想
たのしそう
読了日:05月25日 著者:マーガレット ハウエル
あひるあひる感想
読み進めるうちにあれ、なんか変だな…と思い始めて変なまま終わる。しかし食べ物がよく出てくるので平和にみえる。面白かった。
読了日:05月25日 著者:今村 夏子
さんかく窓の外側は夜 (3) (クロフネコミックス)さんかく窓の外側は夜 (3) (クロフネコミックス)感想
エロいので読んでしまうがなにがなんだかさっぱりわからないよ…
読了日:05月19日 著者:ヤマシタ トモコ
文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)感想
ケンヤとは喋りたくない…
読了日:05月18日 著者:京極 夏彦
シュトヘル 14 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)シュトヘル 14 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)感想
全員きれいにけりがついた!なにかと世話焼きなハラバル、最後まで世話焼き。
読了日:05月15日 著者:伊藤 悠
海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)海街diary 8 恋と巡礼 (フラワーコミックス)感想
「姉との旅」というタイトルが好き。キャラクター皆のつながりが、少々重苦しく思ってしまう私は三姉妹のお母さんタイプの人間なんだと思う。
読了日:05月15日 著者:吉田 秋生
少女外道 (文春文庫)少女外道 (文春文庫)感想
大好きです、と皆川博子さんに骨を捧げたい。何回も読んだけど今回は「標本箱」がよかったなあと思う。
読了日:05月10日 著者:皆川 博子
スミヤキストQの冒険 (講談社文芸文庫)スミヤキストQの冒険 (講談社文芸文庫)感想
「プンタのスポンジ」のおそろしさ。どこまでいっても受け入れがたい世界、QはQという記号のせいでネズミのイメージが拭いきれない。
読了日:05月10日 著者:倉橋 由美子
おいたが過ぎるわ子猫ちゃん (H&C Comics ihr HertZシリーズ)おいたが過ぎるわ子猫ちゃん (H&C Comics ihr HertZシリーズ)感想
越郎いい家に住んでるなあ
読了日:05月10日 著者:緒川千世
僕の両性具有性周期 (Daito comics BL)僕の両性具有性周期 (Daito comics BL)感想
ますます女の子になればいいのにと思うのでおなかいたい
読了日:05月10日 著者:カノンチヒロ
僕の両性具有症候群 (ダイトコミックス 327)僕の両性具有症候群 (ダイトコミックス 327)感想
雪野は女の子になればいいのにと思う私は邪道
読了日:05月10日 著者:カノン チヒロ
闇金ウシジマくん 39 (ビッグコミックス)闇金ウシジマくん 39 (ビッグコミックス)感想
姉弟がせつない、がこういうのを見たかったってのもある。
読了日:05月10日 著者:真鍋 昌平

読書メーター

有頂天家族2の話をしたい

アニメ「有頂天家族2」が面白すぎるんだけど誰もそんな話しないから私がする。

有頂天家族2は、天狗である赤玉先生の息子(狸たちは2代目とよぶ)が京都に帰ってくるところから始まる。どうやら派手な親子喧嘩をして外国へ行っていたようだ。京都に居た頃は天狗然としていた2代目だけれども、長年の外国生活により、英国紳士となっていた。その出で立ちはまさしく「まじっく快斗」なのだけど、どうやら2代目はアニメなんぞご覧にならないらしい。
私はそんな白タキシードを着こなす2代目の変態ぶりにヒヤヒヤとしっぱなしである。心臓に悪い。
外国で収集してきた骨董品にまみれる暮らしぶり、真夏のビルの屋上、炎天下で白シャツにアイロンを猛スピードでかけていくめんどくささ、狸へのごほうびは金貨、時間が来れば客がいようとお気に入りの長椅子で昼寝を決め込む細身イケメン(天狗)はどう考えても変態で、思わず「矢三郎にげてー!矢四郎も!そんな家(2代目の家は2代目の脳みその中のようだった)にいたらだめーー!」と叫びたくなってくる。(3話めはほんとうにヤバかった…2代目の変態ぶりを余すことなく、という素晴らしい回だった…)

私にとっての見所は、このあまり出てこない2代目もとい変態紳士(私ではない、赤玉先生が言っていたのだ)と弁天さまがバッチバチの一触即発状態にあることである。
おたがい「気に入らない」オーラの出しっぷりが凄まじく、1期では向かうところ敵無し、天下無双の弁天さまが、2代目にヤラレっぱなしなのである。ヒイ!
床に転がされたり川に落とされたりして、どうすんねん。怖い怖い怖い!!!と気が気でない。
川に落とされた弁天さまは、びしょ濡れになりながら「くやしいかね」と問いかける赤玉先生に消え入るような声で「くやしいです」とこたえただけだった。つらい。あんな弁天さまは見たくはないよ…。(けれど最近では、有馬温泉に行ってソフトクリームを食べたり地獄に行って鬼と相撲、鬼をブン投げたりしていて楽しそうだった。金曜倶楽部の宴も、おっさんばかりだが楽しそうに参加している…)


2代目が出てこないあいだ、矢三郎は将棋大会に参加したり、矢一郎の恋を成就させたり、淀川教授と「木曜倶楽部」として金曜倶楽部と宴会をしたりと狸として忙しい生活をおくる。狸は楽しそうでいいなあ。
平成狸合戦ぽんぽこ」の頃から、人間に紛れて暮らせる狸は最強、としかおもえないよ。

このアニメの舞台は京都なのだけれど、ビルの屋上に建てられた別荘のような家やラーメン屋、将棋盤のなかにある将棋部屋、屏風のなかの地獄など、「どこでもない場所」が多々出てきて面白い。1期で、弁天さまが鯨と一緒に泳いでいた場所も素敵だった。
そんな非現実的な場所とはうって変わって、赤玉先生のボロアパートや下鴨神社などキャラクターが住んでいる場所も素敵で、有馬温泉の、矢三郎が海星と喋っていた喫茶店はかなりいい雰囲気だった。
舞台のひとつひとつ、作品の全体的に漂うレトロさがかわいくて実際に行ってみたくなる。
(京都でスタンプラリーやってるよ!寺にでっかいパネルがでーんとあったりして、ちょっとびびるよ!)


さあアニメを見たら原作も読んでみようっと。(読んでない)

海街diary8巻、新巻鮭ととうもろこしはそんなに悪いのか問題

この巻、やはりチカちゃんの妊娠騒動がメインで進んだけれども、その進みっぷりは陳腐!陳腐すぎるよ!!だからほっとく!


この巻で私が「???」だったのは、三姉妹のお母さんが、チカちゃんの結婚と妊娠のお祝いに「新巻鮭とトウモロコシ(大量)」を送ってきたことがものすごくおかしい、とされていたことだった。
なんで切り身の鮭にしないの、どうするのこんなに大量に!うちが何人家族だと思ってるの!からはじまり、電話で「きいたわ、おめでとう、体大事にね」と言われただけとか、普通娘が結婚妊娠っていったらすっとんで来るでしょう!とか、もう「お母さんのすること」に対して非難ごうごう、でも、私はお母さんと同じで「なにがいけなかったの?」と思うのだった。
お母さんは再婚して別に暮らしている。たぶん遠方。もう別の家庭があるお母さんに何をそんなに期待しているのか…お母さんが優先しなければならないのは向こうの家庭で、すっとんで来れない事情があったかもしれないし、「娘をおいて出ていった」引け目があるということなので、もう自分がしゃしゃり出る立場じゃないということをわきまえた対応じゃないかとすら思うのだけど…
しかしいちばん怒っていた大叔母さんと幸姉ちゃんは、きっとお母さんが「何をしても気にくわない」んだろうなあ…そんなかんじだ。
お母さんに悪いイメージを持っていないチカの気持ちを汲めば「その対応はなかったんじゃないの」と言いたい気持ちもわかるが、それなら「気のきかない、自分のことばかりを考えている」お母さんに「チカに会いにきてやって」と根回しくらいしてもよかったんじゃないかと思う。お母さんと、対話をしようとしていないのでお母さんに気持ちが通じなくて当たり前だ。「嫌いは好きより早く伝わってしまう」みたいなことを言っていたのはたしかこの漫画…

喫茶店のおっちゃんが出てきたあたりで「な、なんか説教臭くなってきたな…」とざわざわしながら読んでいたんだけど、やはりざわざわは拭えないな…
でも読んじゃうね!
すずちゃんのいい子っぷりは1巻からブレずに健在していてあの子がきちんと育つ場所を作ったお姉ちゃんたちにもやはり幸せになってほしいよね!